新型コロナウイルスの影響で、リモートワークやテレワークなど働き方が大きく変わっているのと同時に、営業のやり方も変わってきています。対面で話すことが難しい中、どのようにして商談を進めていけばよいのか対応を迫られる営業シーンで、現在、注目されているのがオンライン営業です。
ここでは、新たにオンライン営業に取組む方に向けて、オンライン商談はどのような形で行えるのか、そのポイントと、メリット・デメリットをご紹介いたします。
オンライン営業とは
直接、取引先や顧客に訪問せず、アプリなどを使ってオンライン上で営業を行う方法です。PCやスマホ、そしてインターネット環境さえあれば商談ができるため、相手のもとへ移動する必要がなく、オフィスでも自宅でも商談が行えます。
オンライン営業のメリット
1. 顧客にとってのメリット
顧客へのメリットを明確に理解し、自信を持って伝えることが出来れば、顧客がオンライン営業を受け入れてくれる可能性がぐっと高まります。
(1)購買リードタイムの短縮
(2)自宅勤務への対応
(3)商談依頼の気軽さ
2. 自社にとってのメリット
営業マン一人一人がメリットを理解し、導入目的意識を持つことで、導入後の成果がより期待できます。
(1)業務効率の改善
移動する時間が無くなることで、移動時間を他の営業や事務作業に充てられます。
(2)コスト削減
移動にかかる費用の削減。特に遠方の顧客を訪問する際は、交通費の他に宿泊費、日当なども発生するのでコスト削減につながります。また、移動時間の短縮による業務効率UPからの残業代の削減、営業マンの稼働率UPにより人件費削減にもつながります。
(3)商談場所の確保の必要がない
応接室や会議室などをおさえる必要がない。
(4)顧客開拓の効率化
自社の商品・サービスに興味を持ってくれている相手に絞って営業活動をおこなうことができ、
やり取りはオンライン上でおこなうため、距離の壁もないので、新規顧客の開拓を非常に効率的におこなうことができます。
(5)ペーパーレス
担当者が多い場合、人数分の資料を用意する必要がなくなります。
(6)ノウハウの蓄積や教育への活用
オンライン商談ツールは、録音や録画の機能を備えています。これらの機能を使えば、商談で話した内容を簡単に保存することができます。
これは教育の場面で非常に役立ちます。ベテラン社員の商談を録画し社内共有すれば、対面の商談では難しかった現場における営業ノウハウの共有ができます。どのようなアプローチや資料の提示の仕方をした時に、先方が興味を示してきたのか、逆に失敗したと思われる事例などを詳細に分析して、それを生かせるようになります。
オンライン営業のデメリットや課題
(1)顧客とのコミュニケーションがとりづらい
画面越しでは、微妙な感情の理解ができないものですし、話す側も相手が目の前にいないと感情を込めるのが難しくなってしまいます。行き当たりばったりの営業も通用しないので、営業力が求められます。
こうしたデメリットの影響を減らすためにも、オンライン商談に特化した研修をすることが大切です。対面での会話とは違うコミュニケーションの仕方、たとえば感情の込め方や手振り、視線の置き方などを確認します。
また、先方の会社や担当者についての情報を従来よりも多く集めるようにして、相手の思考パターンや雰囲気を事前につかむようにしておきます。こうした努力を払うことで、デメリットを埋めて効果的な商談に持っていくことができます。
(2)インターネット回線の状況に影響される
オンライン商談は基本的に、インターネット回線や電話回線を使って行われます。回線の状況によっては通信が不安定になってしまうことがあり、商談で聞き取りづらいなどの不具合が起きてしまうと、相手の印象を悪くしてしまう恐れもあります。
この点に関しては、企業の整備された業務用無線LANや自宅でも有線LANを使うことで回避することはできます。
(3)実物を見せられない
商材の中には、やはり実物を見てチェックしたいものもあります。しかし、オンライン商談ではその場で実際の品物を見てもらう、触ってもらうといったことができません。
回避策としては、商談をする前に、先方のオフィスなどにサンプルを送付しておくという方法や、詳細な写真などで済むのであれば、カタログを送付するだけで十分なこともあります。事前に資料をまとめてメールなどで送信したり、高精度の画像を見て欲しいのであれば郵送で送ったりすることもできます。そこまで精細なものは必要なく、イメージ程度の画像で良いのであれば、画面共有機能を使って表示させることも可能です。
※オンライン営業ならではの工夫や気遣いは、会社の信頼やアピールポイントにもつながりますので、ぜひ力を入れてみてください。
オンライン営業開始にあたって、活用できる補助金
オンライン営業をおこなうためには、必要なインフラを整えなければなりません。
※オンライン営業のために必要なインフラとしては、ビデオ会議システムやSFA、チャットツールなどが挙げられます。
インフラを整える費用として、政府の補助金がありますのでご紹介いたします。
(1)IT導入補助金(C類型)
ITを導入する経費の一部を補助する事業。C型の非対面型ビジネスモデルの転換、テレワーク環境の整備が該当します。
補助金額:30万~450万円 補助率:3/4
※今年度の交付申請は2020年12月18日(金)17:00が最終締切りになりますのでご注意ください。
(2)小規模事業者持続化補助金(一般型)
小規模事業者が実施する販路開拓等の取組みの経費の一部を補助する事業。
補助金額上限:50万円 補助率:2/3
まとめ
オンライン営業では、対面営業が抱える「業務効率が悪い」「コロナ禍において訪問しづらい」という2つの課題を解決できます。また、顧客のもとを訪問する必要がないため、移動にかかる金銭的・時間的なコストを削減できますし、業務効率UPにもつながります。さらに、新規顧客の開拓も効率的におこなえます。
在宅でも営業活動が可能なことから、新しい働き方にも非常にマッチしており、今後よりオンライン営業の導入が促進されることは間違いないと思われます。他社と差別化できる営業を行うためにも、時代の最先端にいち早く取組み、オンライン営業の技術を積み上げてみてはいかがでしょうか。