コロナ禍で空室率が一時的に上昇した賃貸オフィスマーケットですが、2024年後半以降、都心部を中心に空室が明らかに減少傾向を見せています。背景には、企業の出社回帰とともにオフィスの「増床」ニーズが広がっていることが挙げられます。
さらに、空室減少が続くことで賃料相場にも上昇圧力がかかり、従来に比べてリーシングにおける競争条件が変化しています。
今回は、100坪以下の中小規模オフィスビルを中心に、都心部のテナントリーシングにおける最近のトレンドと成功のポイントを整理してみました。
トレンド①:空室率が低下、オフィスマーケットが回復基調へ
2023年ごろまで続いた空室率の上昇傾向は、2024年以降、明確に減少に転じています。東京都心5区では空室率が5%を切るエリアも増えており、特に中規模以下の空室は早いペースで埋まりつつあります。
その要因のひとつが、企業による出社回帰と、それに伴うオフィスの増床ニーズ。従業員を交代制ではなくフル出社させる企業が増えたことで、「少し広いオフィスに移りたい」という動きが顕著です。
この動きにより、100坪未満の空室フロアにも再び注目が集まっており、セットアップ済みの中小規模オフィスにはスピーディな引き合いが入るようになってきています。
トレンド②:空室減少に伴い、賃料相場が上昇傾向
空室率の改善と比例して、相場賃料も上昇傾向にあります。特に、駅近でセットアップ済み、一定のグレード感がある物件については、値上がりが見られる事例も出てきました。
「一見高いように見えても、内装・設備が整っていれば、総コストはむしろ安く済む」という認識が広まりつつあり、内装付きオフィスは“賃料が高くても選ばれる”商品に進化しつつあります。
トレンド③:小規模でも「内装付き」がスタンダードに
従来、中小規模のオフィスは「通常のオフィス仕様」が当たり前でしたが、最近は家具・内装を完備した“セットアップオフィス”の人気が急上昇。特に、以下のようなニーズを持つ企業に強く響いています。
- 移転までの時間がない
- 内装コストを抑えたい
- できればすぐに使い始めたい
100坪以下の物件は、ターゲットを明確にした空間づくりが成功のカギを握ります。
テナント誘致を成功させる3つのポイント
1. 完成イメージを「見せる」
内装付きにするだけでなく、高品質な写真や、CGパース、カラー平面図を揃えることで、テナントや仲介会社に訴求力が増します。
2. スピード感のある情報発信
マーケットが活性化している今こそ、空室情報をいかに早く正確に届けるかが勝負。ポータル掲載だけでなく、htmlメールやSNS広告など多角的な発信が有効です。
3. 仲介会社との関係構築
内見時の資料づくりや、案内しやすい状態に整えることはもちろん、仲介目線での“提案のしやすさ”を重視することが成約率アップにつながります。
まとめ
空室が減り、需要が戻りつつある今こそ、100坪以下のビルにとって“攻め時”のタイミング。特に、セットアップオフィスへの転換や、情報発信の強化は確実に差別化につながります。
マーケットの流れにうまく乗せることで、小さなビルでも「選ばれる存在」に。これからのリーシング戦略に、今一度“見せ方”と“スピード”の視点を取り入れてみてはいかがでしょうか?