賃貸借契約書とは?どのような内容で確認の際に注意すべきポイントを解説

「賃貸借契約書」は賃貸物件を借りる際に最も重要な文書の一つです。

入居者と貸主間の権利義務を明確にし、トラブルを未然に防ぐためのツールです。しかし、専門的な言葉や複雑な条文が含まれており、何を確認すれば良いのか分からないと感じる方も多いでしょう。

この記事では、賃貸借契約書の基本的な内容と、契約を結ぶ際に特に注意すべきポイントを解説します。

目次

「賃貸借契約書」とは?

賃貸借契約書は、賃貸人(大家や不動産会社)と賃借人(テナントや入居者)との間で締結される重要な文書です。これは、物件の使用に関する双方の権利や義務を明文化したもので、トラブルを避けるための基本的なガイドラインを提供します。

この契約書には、物件の詳細や家賃の金額、支払い方法、契約期間、解約条件など、賃貸に関する様々な項目が記載されています。また、敷金や礼金といった初期費用の詳細、物件の維持や修繕に関する責任の所在、ペットの飼育や業務使用の許可・禁止などの特約も明示されることが一般的です。

日本の借地借家法は、賃借人の立場を保護する内容となっており、これを基にした賃貸借契約書が多いです。しかし、契約書には借地借家法以外の、双方が合意した内容も記載されるため、賃借人は内容をしっかりと理解してから署名することが求められます。

特に、日常では馴染みのない専門的な用語や表現が用いられることがあるため、不明点や疑問点は契約前に賃貸人や不動産会社に質問し、十分な確認を行うことが大切です。

オフィスの賃貸借契約で使用される契約形態

オフィスの賃貸借契約で使用される契約形態は主に3つあります。以下に主要なものをご紹介していきたいと思います。

普通建物賃貸借契約(普通借家契約)

これは1年以上の契約期間が設定され、期間満了の際は更新していくタイプの契約形態です。オフィスでは2年や3年間で設定されることが多く、小規模ビルでは更新の際に更新料や事務手数料が発生する場合があります。

途中解約について

普通借家契約では、基本的に貸主からの解約は認められていません。このため、借主の立場が比較的強いとされています。ただし、貸主が正当な理由(例: 建物の老朽化による取り壊し)を持つ場合には解約が可能です。

賃料改定について

この契約形態では、賃料の改定が可能です。賃料の改定は近隣の相場変動やその他の要因を基に行われることが多いです。

定期借家契約(定期建物賃貸借契約)

定期借家契約は期間の定めが特定され、その期間終了時には自動的に契約が終了します。新たに契約を結びたい場合は、再契約を行う必要があります。

途中解約について

この契約形態では、両者ともに途中解約は基本的に認められていませんが、特定の条項で途中解約が可能とされているケースも存在します。

賃料改定について

定期借家契約の期間中は賃料の改定は基本的に行われません。

施設利用契約(サービス利用契約)

レンタルオフィスやサービスオフィスなど、特定のサービスを提供する施設で使用される契約形態です。この形態の契約は比較的自由度が高く、借地借家法の範囲外です。

賃貸借契約を締結する際に発生する費用

賃貸借契約を締結する際には、いくつかの費用が発生します。これらの費用は、契約内容や物件の立地、利用する不動産業者などによって異なる場合がありますが、以下に主要なものを挙げて詳しく解説します。

預託金(敷金・保証金)

敷金や保証金として預けられるもので、賃料滞納の際の担保として使用されることが多いです。

敷金は、賃料滞納や物件の修繕費用などの担保として、賃借人から賃貸人へ前払いされるものです。契約終了時に、物件にダメージがなければ、一部または全額が返却されます。

保証金も同様の担保として機能しますが、その名前や概念は地域や契約内容によって異なることがあります。

仲介手数料

不動産業者を通して物件を借りる場合、その業者へ支払う費用として仲介手数料が発生します。この料金は、賃料の1ヵ月分が一般的な上限とされていますが、エリアや業者によっては異なる場合もあります。

初期賃料

契約時に最初の月の賃料、または最初の数ヶ月の賃料を前払いする場合があります。

保証会社の利用費

一部の賃貸物件では、敷金や保証金の代わりに、保証会社のサービスを利用することが求められることがあります。その場合、初回のみや年間で保証委託料として一定の料金が発生します。

更新料

賃貸契約の更新時に発生する費用で、敷金とは別に取り決められる場合があります。通常は賃料の1ヵ月分が一般的ですが、契約内容によります。

鍵交換費

新しい鍵への交換や追加の鍵の作成などの際に発生する費用です。

契約書作成費

契約書の作成や公証にかかる費用です。一部の高級物件や特定の契約形態で求められることがあります。

以上が賃貸借契約を締結する際の主要な費用です。契約を締結する前に、これらの費用やその他の条件をしっかりと確認し、納得の上で契約を進めることをおすすめします。

賃貸借契約書で確認すべき条文

賃貸借契約書の内容はすべて重要ですが、以下に特に注意して確認すべきポイントを紹介します。契約書を読む際には、3回以上しっかりと読み返し、不明な点や疑問に思う部分は弁護士や仲介業者に確認してください。

確認すべき条文
  • 使用目的
  • 更新・再契約
  • 敷金・保証金
  • 賃料の改定
  • 中途解約・契約期間開始前解約
  • 貸主からの契約解除
  • 賃料以外に発生する費用
  • 原状変更について
  • 禁止事項
  • 損害賠償・違約金の予定額
  • 特約事項
  • 館内規則

以下に確認すべき項目について、注意点と併せて紹介していきたいと思います。

使用目的

物件の使用目的を確認し、自身の目的と合致しているか確認してください。

更新・再契約

契約期間終了時に更新しない場合、届け出る必要がある日程や条件を確認してください。また、期間満了以外での解約には違約金が発生することがあるので注意が必要です。

敷金・保証金

敷金の返還に関する期間や条件をチェックしてください。一般的には契約終了後の3か月以内に返還されるケースが多いです。

賃料の改定

賃料の改定ができるか否か、双方から申し出ができるかを確認しましょう。また、”協議のうえで”という文言が入っているかも大切です。

中途解約・契約期間開始前解約

中途解約の可能性、解約予告期間、及び解約違約金の額についての確認が重要です。

特に、フリーレント期間が設定された契約の場合、契約期間内の早期解約が行われた際には、通常免除されていた賃料相当額が違約金として発生することが多いです。ただし、契約更新後はこのフリーレントに関連する違約金は通常発生しません。

また、契約締結後に契約開始前にキャンセルする必要が生じた場合の違約金も重要です。契約書にはこのような状況に対する違約金の取り扱いが記載されていることがありますので、その額や条件を確認することが必要です。

貸主からの契約解除

賃貸オフィスの契約において、賃料の滞納や契約上の禁止事項に違反した場合、契約が解除されるリスクが存在します。このような事態を避けるためにも、賃料の支払い条件や禁止されている行為の詳細を契約書でしっかりと確認し、理解しておくことが重要です。

賃料の滞納に関しては、どの程度の期間滞納が続くと契約解除の対象となるか、また滞納時の通知や催告の手続きなども確認しておくべきです。さらに、禁止事項に関しても、具体的にどのような行為が禁止されているのかを明確に把握しておく必要があります。例えば、物件内での騒音の発生、不適切な改装や使用方法、禁煙エリアでの喫煙などが考えられます。

また、これらの違反が発生した場合の具体的な対応や処罰の内容も契約書で確認することが推奨されます。契約解除だけでなく、違約金の支払いや損害賠償責任についても規定されていることがあります。これらの内容を十分に理解し、契約違反を避けることが、安心してオフィスを利用するための重要なステップとなります。

賃料以外に発生する費用

物件によって異なりますが、賃料や共益費以外にも、電気代、水道使用料、駐車場使用料、町内会費、貸室内の清掃費用などがかかるケースがあります。

原状変更について

物件での改装や工事に関するガイドラインや条件は、契約書に記載されていることが一般的です。これには、内装工事を行う際に使用すべき業者が指定されている場合がありますので、特に内装工事業者の指定があるかどうかを確認することが重要です。

禁止事項

オフィス使用時における禁止事項の確認は大切です。通常、ペットの持ち込みやオフィス内での宿泊は禁止されていることが一般的です。これらを含む物件使用上の規制や制限、例えばペットの飼育禁止や宿泊目的での利用禁止など、詳細は契約書や物件の規定で確認してください。

損害賠償・違約金の予定額

契約違反時の損害賠償額や違約金の計算方法、金額をしっかりと確認してください。

特約事項

大手デベロッパーの物件における契約では、基本的な契約書の条文に変更を加えることなく、特約を利用して個別の条件を設定することが一般的です。これにはフリーレントの条件、解約禁止期間の設定、連帯保証人の要否などの内容が含まれることがあります。そのため、契約時には特約事項に特に注意し、内容を確認することが重要です。

館内規則

物件や建物内での共用部分に関する規則やマナーは、日常のオフィス運営に影響を及ぼすため、特に注意して確認する必要があります。これには、工事が許可される時間帯や引っ越しの際の時間制限などが含まれることがあります。

特に、建物内に商業施設が入居している場合は、夜間にしか工事が許可されないなど、より厳格な規則が設定されていることがあります。その結果、工事期間が長くなったり、費用が高くなる傾向があります。

これらの規則は、共用スペースの利用や日々のオフィス運営に直接影響を及ぼすため、契約前にしっかりと内容を確認し、理解しておくことが重要です。

まとめ

賃貸借契約書は、貸主と入居者の間の約束事を明文化した大切な文書です。

契約書を締結する前に、内容をしっかりと確認し、不明点や疑問点は必ず専門家や仲介業者に問い合わせることが重要です。特に使用目的や賃料、敷金・保証金などの金銭的な部分や、解約条件、貸主からの契約解除の条件などは特に注意が必要です。

正確な知識と理解を持つことで、安心してオフィス移転を進めることができるのではないでしょうか。株式会社スリースターでは、賃貸借契約書の説明もしっかり行いますので、安心してオフィス移転をお任せいただくことが可能ですので、ぜひ一度ご相談ください。

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