BCP(事業継続計画)とは
自然災害、テロ、新型インフルエンザの大規模流行など、事業の継続を脅かす状況に直面した際に、事業をいかに継続、または復旧させるための計画策定です。
今回は、賃貸オフィスビルのBCP対策についてまとめてみます。
自然災害は、地震や水害など様々ありますが、東日本大震災の教訓もあり、耐震性能と停電時の電源供給についての対策しているビルが増えています。
耐震性能について
制震構造とは
オイルダンパーやブレースを組み込んで、揺れを抑える構造です。超高層ビルに採用されている技術です。新宿副都心の超高層ビルの一部では、東日本大震災以降、屋上に制振装置を設置するなど、揺れへの対策を施しています。
免震構造とは
免震ゴムとダンパーを利用して揺れ幅を軽減させる構造です。以前は中規模ビルで採用されていましたが、最近は中間免震構造など、超高層ビルでも採用されることが増えました。

電力の供給について
大地震の際には、発電所の停止などにより、電力の供給が、止まることが想定されます。そこで、大型ビルや最新のビルでは以下のような対策がとられています。
複数の回線や、2か所以上の発電所から受電
複数の発電所や、複数の回線を利用することで停電時のリスクを回避します。複数の回線を使用することを2回線スポットネットワークや3回線スポットネットワークといいます。
中圧ガス(コージェネレーションシステム)の採用
最近の新築ビルで採用されるケースが増えています。中圧ガス導管は災害に強いと言われています。六本木ヒルズが中圧ガスを採用しており、東日本大震災の際も電力供給に大きな支障はありませんでした。中圧ガスが提供されている間は電力が供給され続けます。
重油による発電
以前から広く使われている非常用発電機が重油による発電です。オイルタンクや発電機の大きさや重さにより、設置できる箇所が制限されるのがデメリットです。中圧ガスの供給が止まった場合のバックアップとして、重油による発電機を備えているビルもあります。このように、電力供給については二重三重のバックアップをしているビルが増えています。


上下水道について
大地震で水道管が破損すると、水道がとまってしまいます。ちなみに、トイレは電力が止まると水が流せなくなり、使えなくなってしまいます。最近のオフィスビルのでは、雑用水を貯留したり、防災井戸を用意しているビルもあります。しかし、整備されてる割合は電力供給に比べて低いと思われます。

防災備蓄品
総務のご担当者を悩ませているのが防災備蓄品だと思います。3日分の非常食の備えを義務づけられ、置き場所に困られているようです。最近のオフィスビルでは、共用部にテナント用の防災備蓄倉庫を備えているビルが増えています。中には、備蓄品を提供はしてくれるビルもあります。

賃貸オフィスビルのBCP対策事例をご紹介
大手町フィナンシャルシティグランキューブ


電力も水道も換気もすべて自立して機能する、強力なBCP対策を誇るオフィスビル。大地震、停電等の災害時にも業務継続をサポートします。

電力供給
- 耐震性に優れた中圧ガスを燃料とするコジェネレーションシステム
- ガスと重油のどちらでも運転可能なデュアルフューエル非常用発電機
- ガスの供給があれば最低でも10日以上稼働し、万が一ガスが途絶えたとしても3日間の稼働を可能にする重油を敷地内に貯蔵
水道供給
- 災害における断水時には、高度ろ過設備により井戸水から飲料水の確保・供給が可能
- 下水道に異常が発生しても都心浄化設備により下水を浄化し、日本橋川へ放流することでトイレの継続利用が可能
空調・換気機能
- 自然換気と自然通風を維持するダブルスキン外装システム&エコボイドを整備
- 非常用発電機からDHC(地域冷暖房施設)と空調機へ電源を供給し、業務継続可能な空気環境を維持
耐震性能
制震ブレースおよび耐震壁の配置、CFT柱の採用により、通常ビルの1.5倍の耐震性能を確保。
東京ミッドタウン八重洲



新型コロナウイルス対策
接触感染対策:首都圏の大規模オフィス初となる「完全タッチレスオフィス」を導入。ビルのエントランスからテナント執務室までの入館導線において、完全タッチレス化を実現。顔認証によるオフィス入退館システムの導入、専有部入口の自動ドア化などにより、オフィスワーカーは一切接触行為を行うことなく、執務室への入室が可能となります。また、ホログラムなどの非接触技術も館内に取り入れます。

オフィスロボット技術の活用
「デリバリーロボット」をはじめ、ビルメンテナンス省人化に向けた「清掃ロボット」「案内ロボット」「運搬ロボット」などが活躍する予定。ロボットがオフィスロビーで配達員から品物を受け取り、ワーカーに直接デリバリーをするサービスを初導入。オフィスワーカーの利便性が向上するとともに、配達員とオフィスワーカーとの接触がなくなることで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策にも寄与。このサービスは「東京ミッドタウン八重洲」館内にある飲食店のテイクアウト品のデリバリーにも対応いたします。
ロボットが走行するため、貸室扉や貨物用EV前の扉はすべて自動ドアになっています。
耐震性能
最高グレードの建物耐震性を確保。制振ブレースと制振オイルダンパーを設置した、地震エネルギーを吸収する制振構造を採用。建築基準法の1.5倍の地震力を有する巨大地震にも耐えうる構造です。
防災備蓄倉庫を設置
基準階各階に防災備蓄倉庫を設置。大規模地震が発生し帰宅が困難となった場合、建物内で一定期間滞留できるように各階に水と食料、簡易トイレ・医薬品・救護機材等を備蓄可能な防災備蓄倉庫を設置。
電源供給
非常時には重油による非常用発電機に加え、中圧ガスを利用したコジェネレーションシステムを採用。