【フリーレントについて】賃料が免除されるってどういうこと?会計処理は?


今回は、オフィスの賃貸借契約において一般的になってきた「フリーレント」についてご説明いたします。

賃借人のメリットや注意点、会計処理についてご紹介します。

目次

フリーレントとは

フリーレントとは、「契約開始から一定期間の賃料支払いを免除する」という賃貸条件のことをいいます。賃借人のメリットは主に以下があげられます。

1.二重賃料を軽減できる

移転の場合、移転先の内装工事や移転元の原状回復工事の期間を考慮すると、移転元と移転先の契約期間が最低2カ月程度は重なることになります。そのため、2カ月間は両方のビルへ賃料を支払う必要があります。フリーレントの設定があれば、賃料の二重払いを避けることが可能になります。

2.物件選定を均し賃料で考える

例えば、物件探しの予算を坪単価20,000円と設定しているとします。物件をいくつか見ている中で、とても気に入った物件がありましたが、その物件は坪単価23,000円です。予算オーバーだけどあきらめたくない。。。そこで、フリーレントを設定して、総支払賃料を契約期間で割り戻すという考え方はいかがでしょうか。

例:契約期間24カ月、賃料20,000円、共益費3,000円、フリーレント期間4カ月の場合

24か月間の総支払賃料(坪単価):(20,000円×20カ月)+(3,000円×24カ月)=472,000円

24か月間で割り戻す:472,000円÷24カ月≒19,667円

以上のような考え方だと予算内として検討ができると思います。

契約期間について:上述では24ヶ月間としていますが、2年+フリーレント期間とするケースもあります。

貸主がフリーレントを設定する理由

空室率が上昇してくると、貸主側は空室解消のためにキャンペーン施策を考えます。賃料を下げるのが手っ取り早いのですが、賃料を下げるとビルの資産価値が下がってしまいますので、貸主としては下げたくありません。賃料を下げるのは最終手段です。そこで「賃料を下げずにフリーレントを長く設定する」という施策が昨今の賃貸オフィス業界では主流になっています。具体的には「フリーレント6カ月間」というのが多く、2次エリアの苦戦物件などは「フリーレント12ヵ月キャンペーン」を行うケースもあります。長期のフリーレントは移転費用が相殺できたりしますので、入居テナントには大きなメリットがあります。キャンペーンとしてのインパクトも大きいので、「探しているエリアとは異なっていても、コストメリットが大きいのであれば検討してみよう」ということも期待できます。

フリーレントの注意点

免除されるのは賃料のみ?共益費は払う?

契約内容にもよりますが、一般的なフリーレントでは「賃料のみ」支払いが免除されます。共益費や光熱費は契約開始日から発生します。「賃料に共益費が含まれる」という契約の場合でも、「共益費相当額」として坪3,000円~4,000円程度の支払っていただくことが一般的です。ただ、中には共益費相当額の支払いも免除する「完全フリーレント」というケースもあります。

契約期間中に途中解約するとどうなる?

フリーレント期間を設定すると、その期間分、契約期間が長くなるのが一般的です。例えば、契約期間2年間(24カ月)の物件でフリーレント3ヵ月を設定すると、27か月間となります。

当初の契約期間中に途中解約した場合は、免除した期間分の賃料が違約金として発生することが一般的です。2年以内に移転する可能性が高い場合は注意が必要です。更新後はこの違約金はなくなるのが一般的です。

会計処理はどうなる?

フリーレント期間の会計処理について、日本では明確な基準はありません。会計処理の仕方は「仕訳をするかしないか」の2パターンがあり、どちらを選択しても良いとのことです。

仕訳をする場合

定期借家契約や、解約禁止期間を設けるなど、いわゆる「契約期間が定められている契約」の場合に多く採用されます。契約期間中の「賃料総額」を「契約期間」で按分するという考え方です。

現入居ビルよりも賃料単価が高いビルに移転する際に、この会計処理方法を採用する企業もあります。移転により賃料単価が上がることを会計上で見えにくくなるためです。

仕訳なしの場合

契約期間の定めがない場合に採用されることが多く、従来からの会計処理方法です。

フリーレント期間中は賃料を計上せず、フリーレント期間終了後から賃料を計上していく方法です。

※会計処理に関しての詳細は会計士や税理士にご相談ください。

フリーレント早見表(均し賃料)

均し賃料の早見表です。共益費@4000円、契約期間3年の場合です。


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