賃貸オフィスビルの共用部設備: 重要な選定ポイントと最新トレンド

近年、働く環境がビジネスの成功を大きく左右することが明らかになってきました。

その中心にあるのが、賃貸オフィスビルの共用部設備です。これらの設備は、従業員の働きやすさやビジネスの効率性、さらには企業のブランドイメージにも関わる要素となります。本記事では、共用部設備の選定時に考慮すべきポイントと、最新のオフィスビルトレンドについて詳しく解説します。

目次

賃貸オフィスビルの共用部とは?

賃貸オフィスビルには、各テナントが利用する個別のオフィススペースだけでなく、複数のテナントが共同で利用するスペースが存在します。これを「共用部」と呼びます。共用部は、ビルの顔とも言える重要な部分であり、テナントの快適なオフィスライフやビジネスの効率性を高める要因となる場合も多いです。

共用部の定義と役割

共用部とは、オフィスビル内で複数のテナントや訪問者が共同で利用するエリアのことを指します。具体的には、ロビーや受付エリア、エレベーターホール、階段、トイレ、洗面所、駐車場、休憩スペースなどが該当します。これらのスペースは、各テナントの専有部分ではなく、ビルを利用するすべての人々が自由に使用できるエリアとして設けられています。

共用部の役割
  • ビルのイメージ形成:ロビーや受付エリアのデザインは、ビル全体のイメージやブランド価値を形成します。
  • セキュリティの確保:共用部にはセキュリティゲートやカメラが設置され、ビルの安全性を確保します。
  • 利便性と快適性の提供:エレベーター、トイレ、休憩スペースなどが快適に使用できるように管理・維持されます。

オフィスビルの共用部の重要性

オフィスビルの共用部は、単なる通行エリアや利便性を提供するスペース以上の役割を果たします。

  1. 第一印象の形成:訪問者や新しい従業員の第一印象は、共用部のデザインや清潔さに大きく影響されます。高級感やモダンなデザインの共用部は、ビルやテナントのブランドイメージを高める要因となります。
  2. ビジネスの効率性:効率的に設計された共用部は、テナント間の移動や訪問者の受け入れなど、日常の業務フローをスムーズにします。
  3. テナントの満足度向上:快適な休憩スペースや清潔なトイレは、テナントの満足度を高め、リテンション(再契約率)の向上に寄与します。

共用部設備の主要な選定ポイント

共用部の設備は、オフィスビルの品質やテナントの満足度に大きく寄与します。そのため、適切な設備を選定することは非常に重要です。以下に、共用部設備の選定ポイントを詳しく解説します。

①エレベーター

毎日使うエレベーターだからこそ、最も重要なチェック項目ともいえます。台数、大きさ、高層ビルであればバンク分け(停止階分け)の有無、時間帯ごとの混雑状況などを必ず確認するようにしてください。

また、エレベーターの運行管理システムも重要です。たとえ十分なスペックのエレベーターでも正しく運行されないと、出勤時間にエレベーター待ちの長い行列ができてしまうなど、被るストレスはけっして小さくありません。清掃、保守、点検とあわせて管理体制もしっかりと見ておきましょう。

②トイレ・洗面所

トイレや洗面所は多くの人々が日常的に利用するため、「清潔感」と「利用可能な個数」がキーとなります。トイレが清潔であるだけでなく、特有のニオイや湿気を防ぐ工夫がされているか確認することは不可欠です。

スタッフの人数を基に、トイレの個室数が適切かも重要なチェックポイントです。厚生労働省の基準* によれば、トイレは男女別に設けられる必要があり、男性用大便器は60人以内に1個、小便器は30人以内に1個、そして女性用は20人以内に1個必要です。

また、オフィスにはさまざまなバックグラウンドの人々が集まるため、ユニバーサルデザインを取り入れたトイレ設備は大切です。具体的には、ウォシュレットの設置やサニタリー用品を収納できるロッカーの提供などが考慮されるとよいでしょう。

* 事務所衛生基準規則 第三章 第十七条

③貸会議室

オフィスビルの中には共用部に貸会議室がある物件もあります。

館内に貸会議室があるとコスト削減につながります。もし、坪単価3万円のビルで5坪程度の会議室があるならば、月額15万円が会議室の家賃という計算になります。使わない日があったり、使ったとしても1日に1~2時間というならば会議室は社外で確保することをおすすめします。

共用部の貸し会議室をうまく活用して賃料負担を節約しましょう。

④食堂

東京都内でも食堂付きのオフィスビルが増えています。入居者向けに食事を提供しているオフィスビルというものがあるのです。社員食堂というと大企業だけのもののようなイメージですが、このようなオフィスビルを利用すれば中小企業でも社員食堂のようなものが持てるというわけです。社員の福利厚生にもなりますし、モチベーション向上も期待できるのではないでしょうか。

都心部ではランチ難民になってしまうエリアも少なくありません。また、周辺に飲食店がたくさんあったとしても、節約をしたい人にとっては負担になりかねません。一方、オフィスビル併設の食堂はリーズナブルという声をよく聞きます。「この値段でこんなに贅沢できるなんて!と、味についてもおおむね好評です。ランチはもちろんディナーを提供している物件もあるというのでチェックしてみてはいかがでしょうか。

オフィスターでは食堂併設の物件も多数紹介しています。こちらもぜひ参考にしてみてください。

⑤空調設備

オフィスの移転を考慮する際、空調設備の確認は避けて通れないポイントとなります。主に、セントラル空調と個別空調の2タイプが存在します。セントラル空調は通常、朝の9時から夕方の18時までの運転が基本となり、これにかかる費用は共益費として計上されるケースが一般的です。

夕方18時以降の利用は、追加の費用が発生する場合が多いです。これに対して、個別空調はユーザーごとに操作が可能で、任意の温度調整が行えます。もし、オフィスワークが日中に集中する企業であれば、セントラル空調がコスティングの面で有利かもしれません。しかし、夜間の作業が多い場合、時間外費用が高騰するため、実際に消費した分だけを支払える個別空調の方が適切でしょう。

⑥セキュリティ

オフィスビルの共用部は、日常的に多くの人々が利用するため、セキュリティ対策は不可欠となります。

まず、入退室管理として、カードキーや顔認証などの先進的なセキュリティシステムが導入されていることで、不正な入退室のリスクを低減しています。次に、監視カメラがロビーやエレベーターホールなどの主要な共用部に配置されており、24時間の監視が実施されていることで、より高いセキュリティが実現されています。

さらに、特に大規模なオフィスビルには、セキュリティスタッフが常駐し、ビル内の安全を確保しています。

⑦受付エリアのデザイン

受付エリアは、ビルの「顔」とも言える部分です。

まず、明るく開放的な空間を重視して、天井の高い開放的なロビーが配置されていることで、訪問者に良い第一印象を与えることができます。

さらに、受付エリアには情報提供のための受付カウンターやディスプレイボードが配置され、ビルの情報や案内が訪問者に提供されています。また、訪問者が待機するためのスペースとして、待機スペースが設けられており、快適なソファや椅子が備えられていて訪問者の快適性が確保されています。

⑧休憩スペースやコミュニケーションスペース

現代のオフィスビルは、テナント同士のコミュニケーションを促進するスペースの重要性を強く認識しています。

そのため、リラックスできるよう快適なソファやテーブルが配置された空間が確保されています。また、無料のWi-Fiが提供されていることで、外部とのコミュニケーションや業務の効率化が可能となっています。

さらに、コーヒーマシンやウォーターサーバーが設置されていることで、テナントが適切にリフレッシュできる環境が整備されています。

最新のオフィスビル共用部トレンド

近年のオフィスビルの共用部分では、多様なニーズに応えるための新しいトレンドが登場しています。以下では、サステナビリティ、テクノロジーの導入、ウェルネスの観点からそのトレンドを探っていきます。

グリーンな共用空間: サステナビリティと健康

最近のオフィスビルの共用部分では、環境への配慮と働く人々の健康を考慮した「グリーンな空間」の導入がトレンドとなっています。植物の配置や、自然光を取り入れるデザインが多く採用され、一日中室内で過ごす人々にリフレッシュの機会を提供しています。

テクノロジーの導入: スマートオフィスへの移行

近年、オフィスの共用部でも、テクノロジーの導入が進められています。スマートロックや、エネルギーの効率的な使用をサポートするセンサーシステム、AIを活用した受付サービスなど、効率と便利さを追求する動きが広がっています。

ウェルネスとリラクゼーションエリアの増加

従業員の健康と心地よさを重視する流れから、ウェルネススペースやリラクゼーションエリアがオフィスビルの共用部に増えてきました。マッサージチェアや瞑想スペース、フィットネスエリアなど、働く人々のリラックスと健康をサポートする設備が増加しています。

共用部設備の選定での失敗を避けるためのヒント

オフィスビルの共用部分の設備は、快適なオフィス生活をサポートするために不可欠です。以下のヒントでは、失敗しないための選定方法を提案します。

事前調査とユーザーニーズの確認

共用部設備の選定を失敗しないためには、事前の調査とユーザーのニーズの確認が不可欠です。オフィスのユーザーが何を求めているのか、どのような設備を必要としているのかを把握することで、適切な選択を下すことができます。

予算と品質のバランスを取る方法

設備の選定において、予算と品質のバランスを取ることが重要です。高価な設備のついてオフィスビルを選ぶだけが良いとは限りません。使用頻度や必要性を考慮しながら、最もコストパフォーマンスの高い選択を目指すことが大切です。

将来的な変更やアップグレードの可用性

設備を選ぶ際、将来的な変更やアップグレードの可能性も考慮すると良いでしょう。技術の進化や業務の変化に柔軟に対応できる設備を選定することで、長期的に安定した運用が期待できます。

まとめ

賃貸オフィスビルの共用部設備は、ただの通路やスペースではありません。

それはビジネスの効率、従業員の満足度、そして企業文化の形成において中心的な役割を果たしています。最新のトレンドを取り入れつつ、自社のニーズに合わせて最適な設備を選定することで、より快適で生産的なオフィス環境を実現できるでしょう。

選定の際には、今回ご紹介したポイントを参考に、長期的なビジョンを持って判断を行いましょう。

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