通常の賃貸オフィスとは?賃貸物件における特徴と他オフィスタイプとの比較

これまでオフィス移転を検討する際には、「エリア」「面積」「コスト・スペック」の3つの要素を重視することが一般的でした。しかし、近年ではこれに加え、「オフィスタイプ」を選ぶことも重要視されています。たとえば、居抜きオフィスやセットアップオフィス、レンタルオフィスといったさまざまな選択肢があります。

それぞれのタイプには独自の特徴やメリット・デメリットがありますが、それらを効果的に活用していくためには、まずは通常の賃貸オフィスがどのようなものかを理解することが大切です。

本記事では、通常の賃貸オフィスの基本的な定義や特徴、そしてそのメリット・デメリットについて詳しく解説します。また、通常の賃貸オフィス物件に入居する際のコストやプロセス、さらにどのような企業がこの物件を選ぶべきかについても触れ、オフィス選びに役立つ情報を提供します。

目次

通常の賃貸オフィスとは?

通常の賃貸オフィスとは、内装が施されていない状態で引き渡されるオフィス物件を指します。

たとえば、住宅の賃貸物件を想像すると、家具が置かれておらず、間取りだけが決まっていることが一般的です。また、店舗物件では「スケルトン物件」と呼ばれるものが多く、コンクリート打ちっぱなしの壁やむき出しの空調・電気設備が特徴です。

一方で、オフィス物件では、カーペットや壁紙、天井などの基本的な内装が施されていることが多いですが、間仕切りはなく、入居する企業が会議室の配置や家具のレイアウトを自由に設計できるようになっています。

スクロールできます
一般的な住宅一般的な店舗一般的なオフィス
壁紙ありコンクリート
打ちっぱなしで
空調や電気設備が
むきだしの状態
壁紙あり
フローリング等カーペットあり
天井ボードありボードあり
設備あり一部あり
※水道やトイレなどの
設置状況は物件によって異なる
あり
※トイレや給湯室などは
すでに設置されていることが多い
間仕切り壁ありなしなし
住宅と店舗とオフィスにおける【賃貸物件】の違い

賃貸オフィスでは一般的に、間仕切り壁は設置されていないものの、その他の内装は最低限使用できる状態で募集されているものを「通常オフィス」と呼びます。このほかにも、「居抜きオフィス」「セットアップオフィス」「レンタルオフィス」といったさまざまなオフィスタイプがあります。それぞれの違いについては後ほど詳しくご説明します。

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通常の賃貸オフィスのメリット・デメリットとは?

賃貸オフィスにおける【通常物件】に入居する際に考慮すべきメリットとデメリットをお伝えします。

通常の賃貸オフィスのメリット

賃貸オフィスにおける【通常物件】の主なメリットは、以下の通りです。

  • カスタマイズ性が高い
  • 長期間入居する場合はコストメリットが高い
  • オフィスをブランディングツールとして活用できる

通常の賃貸オフィスの最大のメリットは、その高いカスタマイズ性にあります。

入居企業は一から自社のブランドや業務スタイルに合わせて、オフィスのレイアウトやデザインを完全にカスタマイズすることが可能です。これにより、オフィスを企業のアイデンティティやビジョンを体現する空間として設計でき、クリエイティブな環境や独自のブランディングスペースを作り上げることができます

また、通常の賃貸オフィスは長期間の入居において、コストメリットが高いという魅力もあります。近年、居抜きオフィスやセットアップオフィスといった内装付きオフィスがトレンドとなっていますが、これらにはいくつかのデメリットがあります。

居抜きオフィスは前テナントの内装をそのまま引き継ぐため、長期間使用することでメンテナンス費用がかさむ可能性があります。一方、セットアップオフィスは内装費用が賃料に上乗せされる形となっているため、長期間入居すると結果的に高コストになることがあります。

通常の賃貸オフィスを選ぶことで、こうした追加コストを回避し、企業の長期的な成長とともに最適なオフィス環境を維持することが可能です。さらに、新しいオフィスに自社のアイデンティティを反映させることで、社員のモチベーション向上や業務効率の改善にも寄与するため、長期的に見ると非常に有利な選択肢と言えるでしょう。

通常の賃貸オフィスのデメリット

賃貸オフィスにおける【通常物件】の主なデメリットは、以下の通りです。

  • 初期費用がかさむ
  • 内装デザイン・レイアウトを検討する時間がかかる
  • 原状回復費用が高額になる可能性がある

オフィスの内装工事には大きなコストがかかり、シンプルな内装でも1坪あたり約20万円、おしゃれで個性的なデザインにしたい場合は1坪あたり40万円ほどの費用がかかることもあります。

さらに、内装デザインやレイアウトの検討には時間とリソースが必要です。まず内装業者を選定し、その後に会議室の数や執務室のレイアウト、必要なスペースなどを決定するプロセスが発生します。

また、将来的にオフィスから退去する際、後継テナントを見つけて居抜きで退去することができれば原状回復の必要はありませんが、特に、自社のイメージに合わせてニッチな内装やレイアウトを施したなどの場合は、後継テナントが見つからず、結果的に原状回復工事を行わなければならないこともあります。この場合、1坪あたり10万円~20万円以上の費用がかかることもあり、退去時のコスト負担が大きくなるリスクがあります。

これらのデメリットをしっかりと理解し、通常の賃貸オフィスの選択が長期的に見て最適かどうかを慎重に検討することが重要です。

通常の賃貸オフィスに入居する際の費用コストは?

賃貸オフィスにおいて【通常物件】に入居する場合はどのような費用コストが発生するのかについて、詳しく説明します。

入居時にかかる初期費用

入居にかかる費用敷金・保証金/礼金/前払賃料
保証委託金/仲介手数料/火災保険料など
工事にかかる費用内装工事費用/電気工事費用/ネットワーク工事費用
セキュリティ工事費用/空調工事費用など
その他の費用事務手続きにかかる費用/名刺や会社案内資料などの作成費用など

通常の賃貸オフィス物件に入居する際には、上記のような費用がかかります。一方、内装付き物件と比較すると、「内装工事費用」や「空調工事費用」などが大幅に抑えられる可能性があります。ただし、入居時やその他の費用に関しては、両者で大きな差はありません。

費用の詳細や内訳については、以下の記事をご覧ください。

通常の賃貸オフィスに入居する際のプロセス

賃貸オフィスにおいて、通常物件に入居する場合の「物件選定」から「引越し」までのプロセスを簡単にご説明します。入居するまでのプロセスは物件によって異なりますので、参考までにご覧ください。

STEP
物件選定

オフィス検索サイトや仲介業者に問い合わせて、希望するエリアやスペースの条件に合う物件を探しましょう。この段階で、入居後のレイアウトや業務に適した環境を想定しながら、物件の候補を絞り込んでいきます。

STEP
内装業者との打ち合わせ

内装業者を選定し、具体的な働き方やオフィスレイアウトのイメージをすり合わせます。デザイナーや施工業者と協力しながら、会議室の配置や執務室のレイアウト、内装デザインなど、オフィスの設計を行います。

STEP
内装デザイン・レイアウト・家具の選定

物件の引き渡しを受ける前に、内装デザインやレイアウトを決定しておくことが一般的です。オフィスで使用する家具もこの段階で選定し、発注を進めます。多くの場合、内装業者が家具の発注までサポートしてくれるため、スムーズに進行できます。

STEP
物件契約と引き渡し

物件契約を締結し、引き渡しが完了したら、内装工事が開始できます。

STEP
内装工事の実施

内装工事は、デザインやレイアウトの複雑さによりますが、一般的に1ヶ月程度かかります。工事が予定通り進むよう、施工業者との連携を密にし、スケジュール管理を徹底することが求められます。

STEP
移転作業

内装工事が完了したら、オフィスの移転作業に移ります。デスクやチェアなどの家具を搬入し、従業員が新しいオフィスに移動します。この段階で、すべての設備が整い、業務がスムーズに開始できるように最終確認を行います。

通常の賃貸オフィスが向いている企業とは?

通常の賃貸オフィス物件は、オフィスを自由にカスタマイズし、自社のブランドや業務スタイルに合わせたい企業に最適です。このセクションではどのような企業や業種が通常の賃貸オフィス物件を選択するべきなのかについて詳しく解説していきます。

どんな企業が通常の賃貸オフィスを選ぶべきか?

通常の賃貸オフィス物件は、カスタマイズ性の高さやブランディング寄与の可能性などさまざまなメリットがあるため、あらゆる企業にとって理想的なオフィススペースとなります。以下は、通常の賃貸オフィス物件を活用しやすい業種や企業の特徴を解説します。

  1. クリエイティブ・デザイン業界
    • 通常の賃貸オフィス物件は、企業のブランドイメージやクリエイティブな業務に合わせたカスタマイズが可能で、独自性を追求する企業にとって最適です。自由なレイアウト設計が許されるため、オフィスをクリエイティブなインスピレーションの場として活用することができ、業務効率を高める環境を整えられます。
  2. IT・テクノロジー企業
    • 通常の賃貸オフィス物件は、最新のIT設備を一から構築できるため、高度な技術インフラが必要な企業にとって魅力的です。また、迅速な通信環境や柔軟なワークスペースを確保するために、通常の賃貸オフィス物件でのカスタマイズは理想的な選択肢となります。
  3. 法律事務所などの専門サービス業
    • 通常の賃貸オフィス物件では、クライアント専用の応接スペースやプライバシーを確保した会議室などを自在に設計することができます。また、企業のブランドイメージを反映した洗練された空間を作り上げることで、クライアントからの信頼感をさらに高めることができます。
  4. スタートアップ・ベンチャー企業
    • 通常の賃貸オフィス物件は、企業の成長ステージに応じてオフィス環境を自由に変更できる柔軟性を提供します。初期段階から独自の文化や価値観を反映したオフィスを構築できるため、企業のアイデンティティを強固にし、社員のモチベーション向上にも寄与します。ビジネス拡大を視野に入れて、オフィスレイアウトを適時に変更できる点も、スタートアップにとって大きな利点です。

他のオフィスタイプとの比較(居抜き・セットアップオフィス)

通常の賃貸オフィスと他のオフィスタイプ、特に居抜きオフィスやセットアップオフィスとの違いを理解することも重要です。それぞれのメリットを理解して、自社のニーズに合ったオフィスを選びましょう。

通常の賃貸オフィス〇内装レイアウトやデザインを一から自社で設計できる
△業者の選定や打ち合わせに時間がかかる
△内装工事の費用が発生する
〇自社のアイデンティティをオフィスに反映できる
〇入居する期間が長くなるほど割安になる
居抜きオフィス△前の入居者が使っていた内装や設備をそのまま引き継ぐ
△自社に合うレイアウトの物件を見つけるのが難しい
〇追加工事で内装を好みのデザインに変更可能
〇初期費用が抑えられ、すぐに業務を開始できる
〇入居する期間が長くなるほど割安になる
セットアップオフィス〇貸主によって用意された内装や新品の設備を使用する
〇一般的で汎用的なデザインやレイアウトが多い
△内装工事費用が賃料に含まれ、高めに設定されている
〇初期費用を抑えられ、すぐに業務を開始できる
△入居する期間が長いほど割高になってしまう

賃貸オフィス物件には、タイプごとにそれぞれメリットやデメリットがあります。「自社の移転の目的」「自社が現在のオフィスで抱えている課題」などを鑑みて、適切なオフィスタイプを検討することが大切です。

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まとめ

通常の賃貸オフィス物件は、オフィスを自由にデザインし、独自の環境を構築したい企業にとって魅力的な選択肢です。

しかし、その自由度には高額な初期費用や長い工事期間といった課題も伴います。これらの要素を考慮し、予算とスケジュールをしっかりと計画することが成功の鍵です。また、他のオフィスタイプとの比較を通じて、自社に最適なオフィス形態を見極めることも重要です。

弊社では、「通常の賃貸オフィス」「居抜きオフィス」「セットアップオフィス」など、さまざまなオフィスタイプの中から、貴社の課題や目的に最適なオフィス選びをサポートいたします。『賃貸オフィスの選び方』について詳しく知りたい方は、お気軽にご相談ください。

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