オフィス改革の大本命「IoT」とは?IoTを効果的に導入し活用するための準備

近年進歩し続けるIoT技術ですが、日常生活でもビジネスにおいても幅広くその技術が取り入れられています。オフィスでは、空調の自動制御や会議室の利用状況の可視化などIoTの様々な機能により、快適な職場環境や効率化が実現しています。

「第四次産業革命」という言葉がニュースを賑わせています。第一次産業革命にも匹敵するような産業構造改革が起ころうとしているというのです。そのような時代の中で「働き方」もまた、大きく変わろうとしています。

第四次産業革命のカギとなるのはAI(人工知能)ですが、果たしてそれは人間にとってより豊かな社会をもたらすものとなるのでしょうか。一連の流れの中で今後ますます増加することが予想されているのがIoTです。そもそもIoTとは何なのでしょうか?また、IoT化が進んだオフィスとはどのようなものなのでしょうか?

今回は、オフィスにこのようなIoT技術を導入するメリットを徹底分析いたします。

目次

IoT技術とは?

IoT(Internet of Things)は、文字通り「モノのインターネット」と訳され、物理的なデバイスがインターネットに接続され、データを交換する技術です。この技術は、センサー、通信モジュール、プロセッサなどを備えたデバイスによって実現されています。

センサーは環境データ(温度、湿度、光量、動きなど)を収集し、この情報はインターネット経由で他のデバイスや分析システムに送信されます。

IoTの応用分野

IoT技術は様々な分野で活用されています。例えば、スマートホームでは、照明、暖房、エアコンがスマートフォンや音声アシスタントからの指令で制御されます。

工業分野では、製造ラインの効率化、製品の品質管理、設備の保守予測などに利用されています。農業分野では、作物の成長状態や土壌の状況をリアルタイムでモニタリングすることが可能です。

オフィスにおけるIoT化

オフィス環境におけるIoT技術の導入が加速するにつれ、働き方やオフィスの機能性にも大きな変化が生じています。IoT技術を活用することで、以下のような具体的な変化や利点が見られます。

環境制御の最適化

IoTセンサーを利用して、オフィス内の温度、照明、空気質を自動的に調整することが可能になります。これにより、従業員の快適さと生産性の向上が期待できます。例えば、環境センサーが集中力の低下を引き起こす環境変化を検知し、自動で空調や照明を調整することで、最適な作業環境を維持できます。

会議室管理の効率化

IoT技術を活用することで、会議室の予約状況や使用状況をリアルタイムで把握し、表示することができます。これにより、従業員は利用可能な会議室をすぐに見つけることができ、会議室の利用効率が向上します。ディスプレイやアプリを通じて、簡単に予約や変更が行えるようになるでしょう。

セキュリティの強化

IoT技術による入退室管理システムは、オフィスのセキュリティを強化します。従来の鍵やIDカードに加えて、顔認識や指紋認証などのバイオメトリクス技術を組み合わせることで、より高度なセキュリティを実現できます。これにより、不正アクセスのリスクが低減され、セキュアなオフィス環境が保たれます。

機器のインターネット接続

従来のパソコン、タブレット、スマートフォンに加えて、空調設備、コピー機、デスク、キャビネット、コーヒーサーバーなど、ほぼすべてのオフィス機器がインターネットに接続されるようになります。これにより、AIによる制御や自動化が可能になり、効率的なオフィス運営が実現されます。

未来のオフィス環境

IoT技術のさらなる発展により、オフィス環境はより快適で効率的なものへと進化していくでしょう。例えば、従業員の健康状態をモニタリングするウェアラブルデバイスの導入や、AIによる業務支援システムの発展などが期待されます。これにより、オフィスのIoT化は一層進み、新たな働き方やビジネスプロセスの変革を促進することになるでしょう。

第四次産業革命とIoT

第四次産業革命は、デジタル技術によって産業構造が大きく変化する時代です。IoTはこの革命の中心的な役割を担っており、AI、ビッグデータ、ロボット技術と連携して、産業の自動化と効率化を推進しています。オフィスにおけるIoT化は、従業員の作業効率を向上させるだけでなく、ビジネスプロセスの自動化や意思決定の高速化にも寄与しています。

未来への展望

IoT技術の進化は今後も続き、より多くのデバイスがインターネットに接続されることで、新たなサービスやビジネスモデルが生まれることが期待されています。また、IoTデバイスからの膨大なデータを活用したデータ駆動型の意思決定が、さまざまな業種でのイノベーションを加速させるでしょう。これにより、私たちの生活やビジネス環境はよりスマートで効率的なものになっていくことが予想されます。

IoTのメリットとは

①定型作業の自動化

定型作業を自動化するRPA(Robotic Process Automation)にIoTやAIを搭載する傾向になってきました。IoTを搭載することにより人による作業が省かれ、業務効率化や利便性の向上が期待できます。

事務作業であるデータ入力や書類の振り分けなどIoTを搭載したRPAで自動化し、IoTを活用したカメラなどからの情報をもとに設備管理を可能にするなど、オフィスから工場を遠隔操作するのにとても役に立ちます。

②生産性の向上

IoTの搭載により自動化や環境が良くなるため業務効率が上がり、より良い環境で従業員が働きやすくなり、生産性の向上も期待できます。

③快適なオフィス環境

IoTによる自動設定の空調管理で快適なオフィス環境が実現できます。

オフィスの空調をネットワークにつなげることで、温度や湿度、二酸化炭素の量や空気の汚れを察知して自動で快適な環境をつくりあげてくれます。

このように室内環境が把握できることで、オフィス環境の問題がわかり、さらによいオフィス環境を目指すことができるでしょう。

④省エネ

空調や照明などのスイッチを自動制御できるシステムがあります。この機能を上手く使うことで消費エネルギーの削減につながり、またスイッチをわざわざ押す必要がなくなるため業務効率化にもつながります。

⑤セキュリティ面

オフィスの入退室の顔認証システムが可能なセキュリティシステムにIoTが搭載されているものは遠隔操作が可能です。最近では、目の虹彩認証や静脈認証によるセキュリティ管理システムにより、さらに高度なセキュリティが期待できます。

IoTデバイスの例

オフィスのIoT化が進んだ時、どのようなデバイスが登場するのでしょうか。具体的な例を見てみましょう。

AIデスク

AIはデスクや椅子に搭載することも可能です。ユーザーがずっと作業を続けていたら、気分転換に軽く体を動かして集中力をアップさせるよう促すこともできるでしょう。将来のオフィスはフリーアドレスがメインで、自分専用の机はないかもしれません。しかし、デスクと時計型デバイスを連携させることで、誰が使っているか自動的に認識させることも可能でしょう。つまり、デスク一つあれば座った人に合わせて、その都度瞬時にカスタマイズできるのです。

IoT照明

照明器具をIoT化することで、オフィス内に人がいる時だけ点灯するようにすれば電気代の節約にもなります。スイッチオン・オフだけではなく、作業効率などと連動して、最も作業のしやすい明るさをキープすることもできるでしょう。

IoT入室管理

ミーティングルームを使用していたら後から予約していた別のチームが入ってきた、などのトラブルは結構多いものです。ミーティングルームの中にインターネットと接続したカメラを設置するなどして、使用状況、予約状況などがわかるようなシステムを構築してみてはいかがでしょうか。

IoTに必要な設備

オフィスのIoT化を進めるには、まずは各種端末を整備することが必要です。パソコンやタブレットの他にも、コーヒーメーカーなど思わぬIoT機器が次々と開発されています。職場の中で本当に必要なものはどれか優先順位を考えつつ、積極的に導入するようにしてみてはいかがでしょうか。

しかし、ここで一つ注意しなければいけないのは、IoT機器はインターネットにストレスなく接続できる環境があってこそ威力を発揮できるものであるという点です。社内ネットワークの強化をはかり、社内のどこにいても誰でもインターネットに接続できるようにしておきましょう。

もちろん、情報漏えいなどのリスクへの備えもさらに強化しなければいけません。第四次産業革命後は企業のセキュリティ対策に関してもさらに重要視されることは間違いありません。

IoT化に必要なことは

IoTを効果的に導入し活用するためには、いくつかの重要な準備が必要です。主な要素は以下の通りです。

1. ネットワークインフラの構築

  • 強固なインターネット接続: IoTデバイスはインターネットに常時接続されている必要があるため、信頼性と速度の高いインターネット接続が不可欠です。
  • ネットワーク構成: 大量のIoTデバイスをサポートするためには、十分な帯域幅と効率的なネットワークアーキテクチャが必要です。

2. セキュリティ対策

  • データの暗号化: 通信されるすべてのデータは暗号化されるべきです。これにより、データが傍受されたとしても、内容が読み取られるリスクが減少します。
  • VPNの使用: 特に複数拠点間の通信には、VPN(Virtual Private Network)を利用して、データの安全性を保ちます。VPNはデータを暗号化し、安全な通信トンネルを通じて送信します。
  • サーバーアクセスの制御: サーバーへのアクセス権限を厳格に管理し、不正アクセスを防ぎます。

3. ハードウェアとソフトウェアの選定

  • 適切なIoTデバイスの選択: 目的に合った機能を持つIoTデバイスを選定することが重要です。センサー類、アクチュエーター、モニタリング機器などが考えられます。
  • 互換性とスケーラビリティ: 導入するデバイスやソフトウェアが、既存のシステムと互換性を持ち、将来的な拡張に対応できることが重要です。

4. データ管理と分析

  • データストレージ: 大量のデータを収集・保存するための適切なストレージソリューションを設計します。
  • データ分析ツール: 収集したデータを分析し、有益な洞察を得るためには、効果的なデータ分析ツールが必要です。

5. 従業員のトレーニングとサポート

  • 技術的トレーニング: IoT技術の運用と管理に必要なスキルを従業員に提供することが重要です。
  • 継続的なサポート: IoTシステムは継続的なメンテナンスとサポートを必要とするため、適切なリソースを確保する必要があります。

IoT技術の導入は、これらの基本的なステップに沿って計画的に進められるべきです。このような準備が整って初めて、IoTの真のポテンシャルを最大限に引き出すことができます。

オフィスIoT化の事例

①トイレ

トイレにIoTを導入することでトイレ利用状況が把握できます。混んでいるトイレが一目でわかり、待ち時間も表示することができるため、特に従業員が多いオフィスの場合は効率良くトイレを利用することが可能になります。

②オフィスの室内環境

オフィスの空調を自動で管理することが可能です。温度センサーや湿度センサー、二酸化炭素濃度センサーなどを用いて室内環境を良くしてくれます。

また、人感センサーや照度センサーなどいろいろなセンサーを組み合わせて利用することで、さらに室内環境を最適化でき非常に役に立ちます。

③会議室利用状況の把握

会議室に設置されたセンサーにより、利用状況が確認できます。特に従業員が多いオフィスの場合は有効活用できるのではないでしょうか。急遽会議を行う場合でも、すぐに会議室の確保が可能です。また、収集データを元にあまり利用されない会議室は、他の用途に使うなど、場所の有効活用にもつながります。

まとめ

IoTの機能により快適な職場環境や効率化が進んでいる今、IoTをオフィスに取り入れるメリットや事例までご紹介いたしました。IoTによりこれまでには考えられなかった方面からのオフィス生産性の向上や業務効率化が期待できるため、IoTの導入は非常に有効です。今後もさらに新たなIoTが登場し、オフィスに取り入れられることが期待されます。

オフィス改革の大本命とも言われるIoT導入を、この機会に考えてみてはいかがでしょうか?

目次