快適な休憩スペース・リフレッシュルーム “内装・レイアウトのポイント”

働き方改革の一環として、会社に休憩スペース・リフレッシュルームを取り入れることは近年のオフィス環境作りの定番になってきています。

特に1日8時間以上もオフィスで座り続けるようなデスクワークでは、疲れが溜まっていいパフォーマンスができません。適度に息抜きしてリフレッシュ&リラックスし、やる気を出してもらうためには、休憩スペースやリフレッシュルームは必要です。しかし、ただあれば良いというものではありません。居心地が良いと感じる空間づくりや、利用しやすい環境づくりが大切です。

ここでは、さらなる仕事への活力源となる、理想的な休憩スペース・リフレッシュルームについて、内装デザイン・レイアウト事例をご紹介しながら考えていきましょう。

目次

リフレッシュスペースとは?

会社の中のリフレッシュスペースとは、その名前の通りリフレッシュするための空間です。何の作業も行わない空間であるため、生産性を下げるように誤解されることもあります。しかし、リフレッシュスペースがあることでかえって作業効率をアップさせることもできるといわれています。

社員が息抜きできる空間であり心身の健康維持に役立っているというだけでも、リフレッシュスペースは存在価値があるといえるでしょう。また、社員同士のコミュニケーション促進をはかることもできるので、部署を越えて思わぬアイディアが生まれるきっかけにもなります。

しかし、せっかく作ったリフレッシュスペースがあまり活用されていないというのも、日本企業ではよくある話です。「上司にサボっていると思われたくない」というだけではなく「魅力的な設備がない」「わざわざリフレッシュスペースまで足を運ぶ価値がない」という意見もあることは見逃せません。

形だけのリフレッシュスペースには意味がありません。社員に有効活用してもらうにはどうすればいいのでしょうか?まずはリフレッシュスペースにはどのようなものがあるのか調べてみましょう。

休憩スペース・リフレッシュルームを設けるメリット

(1)リラックスの場

仕事をしているときは気を張っていることが多く、どうしても気疲れや、精神的なストレスを感じやすいものです。社内にいる間でも、疲れたときにはリラックスできる場所を確保することは、業務効率の改善につながり、また社員に長く会社に貢献してもらうためにもとても重要なポイントです。

(2)社内コミュニケーションの場

退職理由の約20%は、人間関係の悪化だと言われています。同僚と仲が悪いわけではなくても、オフィス内であれば私語を慎み、自然とコミュニケーションが減ってしまうことがあります。

しかし休憩スペース・リフレッシュルームでは、仕事モードから切り替えて、同僚とコミュニケーションをはかり、それが仕事での信頼関係につながることもあります。またコミュニケーションが活性化することで、部署などの垣根を超えたコラボレーションが生まれる場としても期待が持てます。

(3)新しいアイディアがうまれる場

自分のデスク以外に、ラフな社員の居場所を作ることは新しいアイディアのきっかけをもたらすことがあります。

特にクリエイティブ系の職種では柔軟な発想が求められるため、休憩スペース・リフレッシュルームが新しいインスピレーションを得るための環境になりえます。社内の人と話しながらアイディアを出したり、ノートPCを持ち込んでソファ席で仕事をしたりと、「休憩」以外の用途で利用されるようなリフレッシュルームは、従業員の発想・創造力を刺激する空間となり、社内の生産性の向上にも効果が期待できます。

(4)会社の印象やイメージアップに好影響

近年は人材の獲得や定着のために、オフィスの環境づくりに力を入れる企業は増えています。内装のデザインを凝ったり、他社にはない制度を導入したりと方法は企業によって様々ですが、リフレッシュスペースをオフィスに取り入れることも、そうした企業のブランディングの大きな手段の一つです。

おしゃれで居心地のいいオフィスはリクルーターからの注目が上がり、採用に効果的です。

またちょっとした打ち合わせに使えるスペースにすると、来客とカフェ感覚で打ち合わせを行えるので、来客に対しても好印象を与えることができます。

リフレッシュスペースの種類

リフレッシュスペースには大まかに分けて以下のようなものがあります。

スタンディング型

ハイテーブルを配置して、コーヒーメーカー、おやつ、本などを置いて、誰でも軽くコーヒーブレイクできるようにしてあるスペースです。
立って利用するようになるため、長居する人が少なくなっています。
オフィスの止まり木的な存在といっていいでしょう。

リビング型

明るくカジュアルな家具を配し、ソファーやクッションなどを置くことで、リビングのようにくつろぐことができるようにした空間です。
懐かしい玩具で遊ぶことができるようになっていたり、猫や犬などのペットによる癒やしを体験できることもあります。

カフェ型

まるでカフェのようになっているリフレッシュスペースもあります。
充実したカフェメニューを味わうこともできるようになっているため、特にまわりに飲食店が少ない会社などで喜ばれています。

リフレッシュスペースに求める社員のニーズ

(1)独りになってゆっくり休憩できるスペース

仕事に行き詰ったときや、連日残業で疲れているときなどは、睡眠も取るスペースが欲しい。

(2)軽く体を動かすスペース

長時間座っていると体がだるく感じることがあります。そんなときは、体を動かすことで血の巡りもよくなり、健康面に関しても効果的です。

(3)開放感を感じられるスペース

普段オフィスでは、基本的に閉塞感を感じながら仕事をしているものです。開放感を感じられるような広い面積を有するリフレッシュスペースを作り、仕事の合間にそこを利用してもらえば、心理的にもリラックスができます。オフィスの規模の関係上、そうした面積が取りづらい場合には窓際にスペースを取り、観葉植物を置くなどの工夫をすることでもリラックスできます。

(4)マッサージ

長時間にわたり同じ姿勢で仕事をしていると体が固まってしまうことがあります。そんなときにマッサージをすれば気分も心も軽くなり、仕事にもよい影響をもたらします。

※リフレッシュスペースにマッサージチェアやグッズを完備している企業もあります。

(5)カフェ

仕事の合間に一息つくのにおいしいコーヒーが飲めるスペース(カフェ)があれば、リフレッシュ効果もアップします。また、少し甘い物を取ると脳の活性化にもなり、仕事がはかどるといわれています。

(6)目的によって柔軟に使用することのできるスペース

疲れをとるだけの目的以外にも、様々な場面で柔軟に利用できるスペース。集中できるワークスペースとして使用したり、打ち合わせ(来客との打合せにも)に利用したり、昼食や夜食を取ったり、場合によってはパーティーなども開けるようにすれば、多目的スペースとして利用価値も高まります。

※主だったニーズを上述しましたが、年代や職種によっても求めるものは違うと思います。できるだけ多くの意見を取り入れて、みんなが満足できる理想の休憩スペースに近づけていくことが重要です。

快適な空間づくりのアイディア

快適で効果的なリフレッシュスペースの設計には、創造的でユニークなアプローチが求められます。オフィスの日常から一歩離れた、リラックスできる特別な空間を作り出すことで、従業員の気分転換や創造性の向上を促進できます。

リフレッシュスペースのデザイン

  • 異なる雰囲気の創出: リフレッシュエリアは、オフィスの日常とは一線を画すデザインが重要です。例えば、「森のリゾート」や「都会のバー」をテーマにしたスペースは、新鮮な気分転換を提供します。家庭的な暖かみのある空間や、アロマの香りが漂うリラックススペースも効果的です。
  • 窓際の配置: 展望の良い窓際に配置することで、自然光を活用し、開放的なリフレッシュスペースを作り出します。高層ビルの眺望は特に、都市の喧騒から一時的に離れることを可能にします。
  • カフェスペースの併設: カフェのような休憩スペースは、社員間の非公式なコミュニケーションの場としても機能します。高品質なコーヒーメーカーやおしゃれなインテリアで、くつろぎの時間を演出できます。

リフレッシュスペースの活用

  • 多目的利用: 休憩用だけでなく、打ち合わせやイベント、セミナーの開催にも適した多目的スペースを設けることで、利用の機会を広げます。
  • アクセシビリティの確保: リフレッシュエリアは、オフィスの中央や入り口付近など、アクセスしやすい位置に設置することが重要です。これにより、部署を超えた交流が促進されます。
  • 設備の充実: マッサージチェアやトレーニング機器など、様々な設備を提供することで、社員のニーズに応えることができます。

効果の最大化

  • コミュニケーションの促進: リフレッシュルームでの非公式なコミュニケーションは、創造性の刺激やチームビルディングに貢献します。
  • モチベーションの向上: 快適な休憩空間は、社員の満足度を高め、仕事へのモチベーション向上につながります。
  • 企業文化の反映: 個性的で機能的なリフレッシュルームは、企業文化を象徴し、社外へのポジティブなイメージを発信します。

限られたスペースでも、工夫次第で効果的なリフレッシュエリアを作ることは可能です。社員のニーズに応え、働く環境を改善することで、全体の生産性と企業の魅力を高めることができるでしょう。

まとめ

Google社の研究によれば、社員の生産性を向上させる唯一の方法は、カリスマリーダーがいることでも優秀なメンバーがいることでもなく「他者への心遣いや同情、あるいは配慮や共感」といったメンタル要素が大きい要因になるそうです。

がむしゃらに働き続けるだけでは、他者を思いやる余裕は生まれません。適度な休憩をとり、リフレッシュして業務できるオフィス環境が重要なのです。そのためには、社員が心も身体もリラックス&リフレッシュできる快適な休憩スペース・リフレッシュルームが必要です。

また快適な休憩スペース・リフレッシュルームでは、社員同士のコミュニケーションが活性化し、それが仕事での信頼関係にもつながりますし、新しいアイディアが浮かぶこともあります。

「この会社で働いてよかった!」と思ってもらうには、仕事の内容はもちろんのこと、働く環境もとても大切なのです。より働きやすいオフィス環境を整えることで、会社の印象やイメージアップにもつながり、企業のブランディング、人材確保にもつながります。

自企業の休憩スペース・リフレッシュルームの使い方を今一度考え、充実したものにする工夫を凝らしてみてはいかがでしょうか。

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