新しいオフィスを借りるときの契約の種類

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新しいオフィスを借りる際には賃貸借契約を結ぶ必要があります。そこで、どのような契約が必要になるのかあらかじめ知っておくとスムーズに手続きを行うことができるでしょう。

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賃貸借契約の種類

オフィスを賃借する場合、賃貸借契約の種類は2つあります。

① 定期建物賃貸借契約(テイシャク)

●契約期間
契約期間が終了した時点で確定的に契約が終了します。但し、双方協議が整えば再契約可能とすることが一般的です。なお、契約期間は双方で自由に定めることができます。(1年未満でも可)
●契約の締結方法
契約期間を定めたうえで、書面により契約することが必要です。また、貸主が契約書とは別にあらかじめ書面にて、契約が更新がなく、期間の満了とともに契約が終了することを借主に説明をする必要があります。事前説明を怠った場合、定期借家の効力はなく、普通借家契約となります。

●中途解約ができるか
原則、中途解約はできません。万が一契約期間の途中で契約を終了させるには、残存期間分の賃料等を支払う必要があります。また、貸主借主双方の合意が得られれば、特約等で中途解約ができる内容にすることは可能です。

●契約終了時
契約期間が1年以上の場合は、期間満了の1年前から6か月前までの間に、貸主は借主に契約が終了するこを通知する必要があります。貸主借主の合意が得られれば再契約することが可能です。

② 普通借家契約

●契約期間
契約期間1年以上で設定します。1年未満で設定した場合は期間の定めがない契約となります。普通借家契約では、契約期間を2年間、更新は自動更新という内容の契約が一般的です。その際は、更新料や事務手数料などの費用が発生するケースがあります。

●借主からの中途解約
オフィスの場合、3~6ヶ月前に解約の意思表示を書面にて通知することで中途解約できるとする契約内容が一般的です。当初の契約期間内や、フリーレント期間が設定されている場合などは、違約金が発生する場合がありますのでご注意ください。

●貸主からの中途解約
貸主からの解約も契約上は可能となっています。しかし、賃借人保護の観点から、貸主からの解約には正当事由が必要となっています。

(借地借家法第28条)

①建物の賃貸人及び賃借人がそれぞれの当該建物の使用を必要とする事情のほか、②建物賃貸借に関するこれまでの経緯➂建物の利用状況④建物の現況⑤建物の賃貸人が建物の明け渡しの条件として立退料を支払い申し出、といった要素を総合的に考慮して判断されます。

上記のように、正当事由を主張するのは手間も費用もかかるため、貸主側からの解約はなかなかできるものではないというのが現状です。

定期借家契約の特徴・ポイント

定期借家契約の契約方法としては前述のとおり書面での手続きが必要となります。最初に定められた期間で終了となり、更新はありません。ただし、期間をどれくらいに設定するかに期限は設けられていません。1年未満の比較的短期間での契約も可能です。
期間の途中で解約したい場合、多くの場合は途中解約の際の特約というものがあり、違約金の有無などが定められています。事情によっては、特に問題なく途中解約できる場合もありますので、必要が生じた時にはオーナーに確認するとよいでしょう。
定期借家契約は自動更新されないために、契約期間が過ぎれば借主は物件を明け渡す必要があります。ですから、例えば物件の改装工事や建て替えなどを行う予定がある場合、定期借家契約であれば、そうした工事の予定を立てやすく、老朽化対策も貸主側のタイミングで行うことが可能です。また、悪質な入居者だった場合にも、退去の日程が定められていることは貸主側にとっては安心材料の一つといえるでしょう。
こうした理由から、基本的には貸主が有利となる契約形態であり、借主としてはデメリットととらえる方もあるかもしれません。しかし、定期借家契約を利用して、契約時に家賃の交渉を行い、家賃の値下げを実現できる可能性もあります。取り壊しがすでに決まっている物件の場合は特に、安い賃料での交渉が成功する確率も高くなるでしょう。

普通借家契約の特徴・ポイント

普通借家契約の場合は、書面による契約は原則として必要ではありませんが、多くの場合は契約内容を明確にするため、書面での契約を行っています。基本的には借主が退去したい時まで借り続けることができます。2000年3月1日以降、それまで20年と定められていた契約期間も制限がなくなりました。そのため、特に理由がなければ、20年、30年とずっと利用し続けることが可能です。契約期間内にもしも退去したくなった場合には、借主の都合で解約を申し入れることができるので、定期借家契約と比較すると借主側に有利な契約形態として認知されています。
借主としては、普通借家契約の物件を選んでおけば間違いはありませんが、条件によっては定期借家契約でもお得になる場合があります。検討しているオフィスが定期借家契約だったからといってあきらめず、よく考えてから決めてください。もちろん契約は双方の合意の下で締結されるものですし、話し合いによる融通は利くものです。あくまでもケースバイケースということは頭に入れておきましょう。

このように、新しいオフィスを探す場合には、オフィスの立地条件や機能性も大切ですがどのような契約形態を結べるのかという点も十分に確認しておく必要があります。自社の移転の目的や、移転した先にどのくらいの期間入居する予定なのか、事前にオフィス移転に関するニーズを整理しておきましょう。

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