更新時の賃上げ、拒絶できる?できない?

賃貸オフィスに入居後、貸主から「家賃を値上げさせて欲しい」とお願いされることが稀にあります。
そんなとき、借主である入居者は家賃の値上げを拒否できるでしょうか。
稀なケースであるものの、こんなお願いをされたときどのように対応すればいいのかを、今回ご紹介します。
そもそもなぜ家賃が上がるのか?
「え!?家賃って上がることあるの!?」と驚いている方も多いでしょう。
実は、家賃は値上げすることがあります。
たとえば、物価が上がってしまった場合や、固定資産税などの所有者・貸主側が払う税金が増えた場合です。
また、周辺の土地の家賃相場とも比べて、明らかに安い場合にも家賃の値上げが生じることもあります。
これらは「借地借家法」という法律で決められており、このような「正当な理由」がなければ家賃の値上げをすることはできません。
借地借家法は貸主からの一方的な値上げによって、借主が弱い立場にならないようにするための法律と言っても良いでしょう。
借地借家法とは
借地借家法について具体的に解説しておきましょう。
基本的に借主は弱い立場であるがゆえ、「借地借家法」によって借主を法律で守っています。
主に借地借家法は、以下の4つの内容について決められています。
- 借地権
- 定期借地権
- 建物の賃貸借契約
- 定期建物賃貸借
簡単に言うと、その土地もしくは建物が賃貸借契約を交わす場合の、契約期間や存続期間、そして効力に関して決められた法律のことです。
賃貸借契約を結ぶと、ほとんどの場合大なり小なりトラブルがつきものですので、このようなルールがなければ問題を解決することはできませんよね。
今回のテーマで取り上げている「家賃の値上げ」もよくあるトラブルの一つです。
万が一、いい加減な理由をつけて家賃を上げようとしてくる貸主がいたとしても、入居者がその通告を拒否しても問題ないような仕組みになっています。
賃上げを拒絶できるのか?
正当な理由があれば家賃の値上げをすることは可能ですが、貸主と入居者の双方が合意をしなければ実際に賃上げをすることはできません。
そのため、貸主から家賃の値上げを通告されても、それを拒否することは可能です。
しかし、貸主が家賃の値上げをするのにはしっかりした理由があることがほとんどですので、なぜ賃上げがされるのか貸主の話を最後まで聞くようにしましょう。
賃上げ前に準備しておくべきこと
家賃の値上げをするタイミングは、契約の更新時もしくは突然に通告されるかのどちらかです。
貸主から何かしらの理由があって値上げ通告をされるわけですが、突然に通告を受け言われるがまま値上げを承諾してしまうのは不服ですよね。
突然通告されても、しっかりと納得できる状態で同意するために、あらかじめ準備しておくことが大切です。
では、具体的に何を準備すればいいのか解説しましょう。
オフィスの現状を確認する
まずは、今入居しているオフィスがどのような状況であるかを自身で確認することが大切です。
たとえば、オフィスの適正面積を知ることも一つです。
一般的な賃貸住宅もそうですが、家賃を決めるためには面積や周辺の賃貸相場、建物自体の価値などの情報が必要になります。
オフィスの現状を知るためにも、面積がどのくらいあるのかを調べましょう。
その上で、面積に見合った適正な賃料がいくらなのかも合わせて調査することが大切です。
オフィスの家賃が上がるときはほとんどが経済状況が悪化したタイミングで起こることが多いですが、契約更新のタイミングでも通告されることがあります。
更新時期がいつ頃なのかも知っておくと、事前準備は万端でしょう。
周辺状況を確認する
オフィスの家賃を決めるのは、そのオフィスだけの問題では終わりません。
周辺の土地や賃貸物件がどのくらいの相場なのかも重要な情報です。
近年だと、不動産情報サイトで周辺の相場を簡単に調べることもできます。
もしくは不動産会社にて、同じような面積・間取り・設備が整っている場所の家賃を調べてもらうのも良いでしょう。
以上の項目をある程度確認した上で、もし今の家賃と変わりがないのであれば、家賃の値上げ通告をされても、当然のように拒否することができるはずです。
家賃交渉のポイント
貸主、入居者どちらにも共通するポイントとなりますが、家賃交渉のためには「値上げもしくは値下げをする正当な理由」があることが大切です。
前述したように、オフィスの周辺の相場や、似たような間取りの平均的な家賃などの資料を集め、しっかりと調査した上で家賃交渉をしなければ、相手に拒否されることは決まりきっています。
日本国内の経済状況が悪化したり、オーナーが支払う固定資産税が増額されたりした場合も、相手にしっかりと伝えることが大切です。
更新時の賃上げは理由がなければ拒否してもOK!
家賃の値上げは入居者にとって、経費が増えることになりますので、快く受け入れる方はほとんどいないでしょう。
貸主にとっても、心苦しい話ではあるので、できるだけ入居者に家賃の値上げ通告をしたくありません。
ここで、賃上げを拒否するかしないかは「理由があるかないか」が判断基準となります。
突然通告されても自身が慌てないようにするために、事前の準備を整えておきましょう。